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恩田陸の「三月は深き紅の淵を」を読む。
この人の話は「6番目のサヨコ」「光の王国」「球形のなんとか」
と何冊か読んでいるのだが(タイトルはいい加減です、すいま
せん)、いつもどうもこうも腑に落ちない。
タイトルは意味深で粗筋もオモシロそうで手に取るんだけど、
最後まで読んで脱力した手から本が落ちる。読んでいる途中
は魅力的なんだけどなあ。
「三月」は4章から成っているんだけど、一章目は面白かった、3章目も面白かった、
しかし2と4はどうなの? 特に2はちゃんとしているのに。なぜアレが書いてないの?
(この先はネタバレになるかもしれないので読むつもりの人は読まないように)
幻の本の作者を探すという話だけど、最後の種明かしで娘二人の生まれ月をペンネームにした、というヒントが出てくるところ、そのヒントが出てくるまでにそのペンネームがどこにも出てこないのはおかしい。ちゃんと「●●□□」というペンネームが出てきてないと、最後の種明かしのところで実は彼女の名前であった、というカタルシスが感じられないじゃないか。それに娘は二人いるのに、主人公は一人の娘しか追ってない。読み返すと非常に不自然だ。いや、読んでいる時から違和感があった。「二人の娘」というヒント、なのに主人公が会いに行こうとしているのはその娘のうちの一人。娘の存在を調べて一人の娘が出雲にいることをつきとめたのなら、なぜもう一人はつきとめられなかったのか。たとえば「もう一人はわからなかったんですよ」というセリフが一つでもあれば納得できるのに、頭からその娘の存在を消したとしか思えない。だから最後にその消された娘が実は「▼▼」だった、と出てきても納得がいかない。
────納得がいかない。
恩田陸の今まで読んだ小説はそうなのだ。腑に落ちない。納得できない。そして4章はこれはもう納得させる気がないし、こっちもちゃんと向き合う気がおきない。ああそう、としか言いようがない。
これは私の読み方だから、しょうがない。相方にも言われた。るたちゃんは好きな話じゃないだろうとも。確かにお話として結末がオチてないと私は好きじゃないので、私は4章は駄目だ。しかし二章は………二章は多分勿体無いと思っているのだ。ソコさえ納得させてくれれば面白いのに、あからさまに隠された、消されたもう一人の娘、読んでいて気づくよ、読者は。へんだって。そこがオサマリが悪く私をイラつかせる原因になる。
ミステリじゃないから、と相方は言った。ファンタジイだから、と。
ミステリの謎が氷解したカタルシスを期待してはいけないのだと………
あ、わくわく度なら「六番目の小夜子」が一番だな。