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2006年08月 アーカイブ

2006年08月03日

こうもりゲット!

こうもり柄の浴衣が欲しいって言ってたんですが、楽天ショップで山本寛斎ブランドの反物をみました。

寛斎ブランド

でも値段が1万円以上する。こういうのがあったの、と着物の師匠のSおりさんにメールを出すと、それ見たことがある、といきつけの呉服屋さんで3900円で買って来てくれました。3分の1ですよ!? 反物の値段ってどうなってんの? それとももともとこういう値段のものをブランド名だけで高値つけてんのか? 反物の値段って結局布の質だけだもんね……。

そんなわけでSおりさんが1週間で誂えてくださることになりました。これで2日目にこうもり柄を着てアイシールドの本を買いに……(少し情けない?)。

で、もうひとつ、こうもり柄の扇子も買いました。男性向けで月にコウモリという古典的な柄です。

女性向けもあったんですが、それはコウモリが2羽飛んでて値段が3倍します。絵の載ってる部分が紙じゃなくて絹なんですね。オークションにも以前一回でたんですがたしか8000円くらいになったんじゃないかな。私が今回手に入れたのは3900円。まあなんとなく紙の部分がちゃち…い感じはしますが京扇子なんだそうです。これを帯にさしてぱたぱたと仰ぐわけですな。

コウモリ柄の浴衣と扇子の女がいたら声かけてやってください。あとは手ぬぐいかな。おしゃれなコウモリ柄が3種類……どれにしよう?

2006年08月04日

WEBゲーム

WEB上で遊べるノベルゲームが作りたくなり、探してみると下記のようなものがあった(この日記はのちほどゲーム頁のゲームblogに移行させます)。

Web Novel
うみがめTOOLS
Mercurius
JAVA Novel アドベンチャー Ex
箱庭ノベルズ

けっこう前から存在だけはかねがねというものから、最近開発された新しいものまで。もっとあるのかもしれないけど、今回はこの5つをいじってみることにした。

まず最初に手をつけたのは去年開発されたという比較的新しいツール「箱庭ノベルス」http://novel2.hakoniwa.net/。
で、できたのがこちら(3分クッキングか)。
http://ruta3.fc2web.com/snow/move1.htm
アイシールド21サイトの方に乗せてますので当然アイシールドのパロディです。というか小説をそのままムービーにしたようなもの。選択肢もなくただ読み流すのでWEB紙芝居---ピクチャーストーリーショーと呼んでます。

このゲームを製作する上での長所。

1)ダウンロードしなくていい。
開発者さんのサイトでWeb上で作れるというのが魅力でしょう。

2)製作が簡単。
Web上で特別な知識が無くても、「セリフ」「選択肢」などのボタンを押して、入力するだけでシナリオができあがっていく。まず画像管理という画面で使う画像をUPし、 それからシナリオ編集という画面でそのシーンで使う画像を選んだり、シナリオを入力する。するとたちまち製作できてしまう。

3)確認が簡単。
できあがったゲームはクリックひとつですぐに画面がそのブラウザで確認できる。せりふや画像をイベントと呼びますが、そのイベントのいれかえもドラッグ&ドロップでできちゃう。

4)サーバーに負担をかけない。
だってできあがったゲームって製作サイトさんにおいてあるみたいなんだもの。そこから自分のHPにタグ1つで貼り付けるだけ。

5)できること。
背景表示(どんな拡張子もOK)・立ち絵表示(透過GIFあるいはPNG画像使用。私の場合、PNGではうまく透過できなかったのでGIFにしました)・メッセージウインドウ・フラグをたてる・選択肢・時間待ち設定

次は短所。

1)操作性が悪い。
これはプレイする操作ではなく作る上での操作。イベントをドラッグ&ドロップで簡単に変更・増減できるのはいいのですが、思ったところにドロップできない。何度かやってみてわかったんですが、狙った場所から5つくらい下までドラッグしないと入れたい場所にイベントをいれられない。つまりもともとのイベントの位置が下すぎるとカーソルがそれ以上下がらなくなってしまう。ほんとに単純に操作性ですね。1シーンのイベントの数は少なめにしておくのがいい。ということは長編には向かないかも。

2)音楽・効果音がいれられない。
すくなくともノベルゲームというならシーンにぴったりの音楽・効果音は欲しいですよね……

3)立ち絵の重ね順が自在にならない。
たとえばキャラ1・2・3を表示させたとすると、1・2・3の順に奥・真中・手前と表示されるわけです。演出的に最初に登場したキャラを一番手前に出したいと思ってもできない。いったんクリアしてしまえばできるんだけど。

4)セーブできない。
短いものならいいんですがやはりゲームならセーブしたいかな、と。

6)画面サイズやメッセージウインドウの色が変えられない。
まあこのへんはね、許容範囲ですね。

でも気軽に簡単につくれるんで短いノベルをHPに置きたいって方はいいんじゃないですかね?

その他のツールはマニュアルなど読んでみて、
うみがめTOOL……FLASH5以上が必要。残念ながらFLASH3しかないので現在はつくれません。
Web Novel……音楽が好きな場所で止められない。効果音再生にはFLASHが必要なので手をつけず。

というわけなのであとはMercurius、JAVA Novel アドベンチャー Exですね。

ヨウツベ

自分用のメモ。

ちぇんげのかっこいいヨウツベ。
博士が主役でゲッターが悪役(笑)。ゴウが怖いよ。

http://www.youtube.com/watch?v=Qdp2WlYqz2Y

ミサイル発射ばかりあつめたヨウツベ。
音楽とぴったり。センスがいい。

http://www.youtube.com/watch?v=c7GaqoXzZFI

2006年08月07日

日傘と豚

おしゃれな日傘を買いました。着物にぴったり。
バラとレースが大正ロマン風。
でもおしゃれすぎて普段着、とくにパンツなんかはいているときには使えなさそうです(笑)。
もう少しカジュアルな水玉のパラソルにしておけばよかった……

で、今日は銀座でお食事。三越で待ち合わせだったのにうっかり「三越前」へ行ってしまった。日本橋じゃん、ここ! あわてて銀座線で銀座に行って15分の遅刻。

今日は絽の着物でおしゃれに。去年ヤマトで作ってもらった洗える着物。柄が伊東深水の描く美人が着そうだなあとあつらえてもらいました。私が着るんじゃあまり涼しげではないかも。
帯はYさんからいただいた黒の半幅。幾何学模様?なのでなんにでもあわせやすく愛用している帯です。

本当は絽の水色の帯でおたいこと思ってたんだけど、待ち合わせに30分切ったのであきらめ(いまだにおたいこは1時間かかる)。こんどまたね。でも銀座だったら無理しても路の帯がよかったかもなあ。プロが多いから半幅だと恥ずかしかったかも………まあまだ修行中ということでかんべん。

行った先は「オザミ」の系列の豚屋さん、ヴァンピックル。
http://www.auxamis.com/vinpicoeur_marunouchi/
元ソムリエがオーナーの店だけあってワインの品揃えがすごい。シラーを飲んだんだけどおいしかった。
豚の串焼きがいろいろでてくるお店でもちろん豚もおいしかったです。
またいきたいな!

2006年08月11日

こうもり浴衣!

浴衣が来た!
山本寛斉デザインの反物で作ってもらった浴衣だ!
ありがとうSオリさん!
帯は通販で買ったうろこ柄だ!
これで2日目のコミケもばっちりだ!
今年は白がトレンドらしいです。
もちろん今年だけでなく、アイシールドが終わってしまってからも私のご自慢の一着になることはまちがいないでしょう!

自分でもてぬぐいをつかってこうもり柄巾着をつくったんですが………

ねえ、まあ………針と糸なんて普段もたないから。
こうもり下向きになっちゃったし。
ちょっと………まあ、出来は………ねえ?

2006年08月12日

魔王さまと僕~呪いの石像2

 僕たちは魔法陣を使って人間界の僕の部屋へ戻ってきた。姿の変わったラキエが元のままの力を使えるかどうかわからなかったからだ。とりあえず裸の彼をどうにかしようと、僕のTシャツを着せてみた。
「デカイ」
 ラキエは口をとがらせて文句を言った。僕のTシャツは子供の姿のラキエにはやはり大きく、肩がさがってしまうし、すそが膝までくる。
「………やっぱり子供服を買った方がいいかな」
「これはイヤだ」
 僕の物がブカブカなのが、自分の貧弱さを強調してるように思えるのだろう。ラキエはかなり不機嫌な様子だった。
「わかった。ラキエ、服を買いに行くから………肌の色、変えられるかな?」
「そのぐらいできる」
 ラキエはそっぽを向いて、ギュッと手を握った。たちまち青みがかっていた肌色が僕らと同じように変わる。とがっていた耳も丸みを帯びたかわいい耳になった。
「うん、上出来だ」
 僕はラキエの着ているTシャツの首元を寄せて安全ピンで留めた。とりあえずこれでずり落ちる心配はない。
「服を買うまでそれで我慢してくれ。すぐに着替えさせてあげるから」
 靴下を履かせて僕のスニーカーをはかせる。袖口から出ている細い腕、すそから伸びる細い足、細いすね。なんかなにもかも………かわいい。
「じゃあ、行こうか」
 僕はラキエの手をとって歩き出した。ラキエはぶかぶかの靴が歩きにくいらしく、何度も立ち止まった。
「飛んだほうが早い」
 何度目かにそう文句を言う。
「ごめんね。そうさせてあげたいけど、ちょっとだけ我慢して。もし疲れたらおぶってあげるから」
「めんどうくさいんだ。疲れたなんて言ってない」
 小さい=体力がない、と思われるのが嫌なのか、僕の言葉を即座に否定する。それが余計我慢させているみたいでかわいそうだった。
「うん、ごめんね。もうじきだから」
 僕はできるだけゆっくりと、ラキエの歩調にあわせて歩いた。


 近所にわりと大きなショッピーングモールがある。確かその中に子供服の店があったはずだ。自分には関係ないから普段は意識していないので、記憶を頼りに探すとなると大変だ。
「アシュ、まだか?」
 ラキエは人ごみにうんざりしているようだった。いつもより目線が低いため、足の群れの中にいる気分なのだろう。それにやはりTシャツに大きな靴をはいた金髪の子供というのは目を引く。道行く人に見下ろされていらついていた。
「あ、ここだ」
 大きなウインドウに子供のマネキン人形が何体も並んでいた。僕はほっとしてラキエを振り向いた。
「今からお店にあいるけど、絶対、暴れるなよ。あと、何聞かれてもしゃべらないでくれ」
 ラキエはうなずいた。
「わかってる。なんでもいいから早くしろ」
 さあて、初めてのお買い物、だ。
 僕はラキエと一緒に店内に入った。店の中は案外と広い。置いてあるマネキンや服が小さいせいだろうか。普段僕が見ているような服とはまったく違う、色とりどりのかわいい服が並んでいた。
 どこをどうやって見ていいのかわからず、店員さんを呼び止めた。
「すみません。この子くらいの子に合う服が欲しいんですけど」
「あら、まぁ……」
 僕より年上らしい、でもかなり美人の店員さんは、ラキエの格好にちょっと不審気な顔をした。でもプロ意識なのか、すぐにそれを隠して微笑んだ。
「かわいらしいお嬢さんですこと。それで、どういった物をお探しですか?」
「かわいいですか?」
 そうか、やっぱりかわいいんだ。僕の気のせいじゃなかったんだな。
「ええ、将来が楽しみですわね………」
「そうなんです、かわいいんですよね!」
 僕は拳を握った。こんなかわいいラキエなんてこのさきお目にかかれない。そう思うとちょっといたずら心が出てきた。
「とにかくかわいらしくしたいんです」
 ラキエは僕の言葉に(何だそれは!)と言いたげな抗議の視線を向ける。
「そうですか、それでしたらこちらにピッタリの物がございます」
 店員さんがにっこりして僕の先に立って歩いた。僕はラキエの手を引いてついていく。
 その一角にはフリフリヒラヒラのお姫様みたいな服がたくさんあった。店員さんはいくつか取り出しては、ラキエに合わせて見せる。
「あーかわいいなー」
 白いワンピース、ピンクのワンピース、黒いワンピース。ラキエの白い肌と金色の髪に映えてどれもむちゃくちゃかわいい! ラキエは眉を寄せて口をつぐみ、怒った顔をしているけどそれでかわいらしさが消えるわけではなかった。
「カジュアルな物もお似合いですけど、こういったお洋服も素敵ですよ」
 店員さんは不機嫌そうなラキエに愛想笑いをするが、ラキエは完全に無視している。
「そうですねー、じゃあ、これ試着させてみていいですか?」
 白と黒のどちらにしようかと迷ったが、黒い服の方がラキエの金髪が目立ってかわいかった。それにやっぱりラキエは悪魔なんだから、黒い方が好きだろうと思ったのだ。
「どうぞお試しください。試着室はこちらになります」
「あ、あと靴と靴下、お願いします」
「はい、ご用意させていただきます」
 僕はむっつりしているラキエの手をひっぱった。不満だろうがぶかぶかのものを着せられるよりましと思うのか、のろのろとついてくる。
 僕は試着室に一緒に入ってラキエのTシャツを脱がせた。
「この服ならサイズはぴったりだと思うよ」
「こんなビラビラしたもの」
 ラキエは辛らつな感想を漏らす。
「そんなに長い間着るわけじゃいないよ。呪いが解けるまで」
 ドレスを頭からかぶせ、手をいれさせて背中のジッパーをあげる。
「ほら、ぴったりだ」
 ラキエはグルグル腕をまわしたりして、着心地をチェックしている。彼にとっては動きやすいか否かだけの問題なのだろう。鏡の中の自分を見ると露骨に嫌そうな顔をした。
「オマエ、趣味が良くないな」
「すっごくかわ………いや、素敵だよ。似合ってる」
 僕は服を頭からかぶったせいで乱れたラキエの髪を撫でて整えてやった。
「帽子もいいよな。いっそリボンとかも………」
「お客様」
 店員さんが試着室の外から声をかけてきた。
「あ、はい」
「いかがでしたでしょう。サイズに問題はございませんか?」
「はい、さすがプロですね。ぴったりです」
 僕は試着室のカーテンをあけた。
「どうですか?」
 なんとなく自慢してみたり。だってラキエがすっごくかわいいんだもの。
 店員さんは目を見張り、ため息をつき、その後全開の笑顔になった。

ろりろり~

「よくお似合いです。まるでお人形さんのようですねわね」
「そうでしょう!」
 まるで自分のことのように力をこめる。そのあと、店員さんが用意してくれた靴下と靴を履かせてみた。
「よかった。これで歩き易くなるよ……どう? キツクない?」
 ラキエは頷いたが不満げな表情は変わらない。
「どうしたの? 気にいらない?」
 やっぱりくつにウサギさんがついているのがいやだったのかな。
 ラキエは口をとがらせ投げやりに呟いた。
「……どうでもいい」
 す、すねてる? うわあ………。
「もう帰るんだろ?」
 飽き飽きだ、と言わんばかりの声に僕は急いでうなずいた。
「うん、すぐにね。あ、すみません、この服は着て帰ります。あと適当に子供用のTシャツとズボン、お願いします。あわせて会計してください」
「はい、ありがとうございます」
 店員さんがラキエの身長にあったTシャツとズボンをだしてくれた。これまで試着させるとラキエが切れそうなのでそのまま袋につめてもらう。会計をしている間にラキエの髪にリボンを結んでもらうのは忘れなかった。


********************************


 店員がラキエの髪に黒いリボンを結びながら小声で聞いた。
「おじょうちゃん、ちょっと聞くけど」
 ラキエは顔を上げると店員をジロリと睨みつけた。
「あの人はほんとに知り合い? パパじゃないわよね?」
 ラキエは横を向いた。アシュに話すなと言われるまでもなく、他の人間と話す気などなかったからだ。
「おねえさん、誰にも内緒にするから教えて。あの人はお嬢ちゃんのお知り合いなの?」
 店員のしつこさに怒鳴りつけようかと思ったが、大声を出すとまたアシュがぶつぶつ言うだろうと思いとどまった。その代わり、にやりと口の端をあげてやる。
「アレは俺のだ」
「………ま、」
 店員はぽかんと口をあけた。


********************************


 会計を終えて振り向くと、店員さんがラキエになにか話しかけているようだった。余計なことを言ったのではないかと、袋を抱えて急いでそばに寄る。
「すいません、なにかご迷惑をおかけしましたか?」
「い、いいえ。何も」
 店員さんはブンブンと頭を振っている。顔がこわばってあきらかに挙動不審だが、何か壊したりしたわけでもないみたいだ。
「おりボンはこんな感じでよろしかったですか?」
 ラキエの頭の両側に黒いレースのリボンがついている。このままケースにいれて飾っておきたいくらいの愛らしさだった。
「じゃあ、帰ろう」
 僕はラキエの手をとった。ラキエはちらっと背後の店員さんを振り返るとフンと鼻で笑う。……やっぱりなにかしたな。
 でも店で騒ぎを起こさなかったご褒美にちょっと休ませてあげよう。ただでさえ人ごみや狭い場所が嫌いなのに、商店街を歩かせて試着室にまではいらせたんだからな。
「ラキエ、公園へ寄ろうか。木がいっぱい生えてて落ち着くと思うよ」


 人間が多い場所より自然の気がたくさんあるところの方がラキエにはいいだろうと、大きな公園につれてきてみた。
 鳥の声がして緑の匂いが満ちているこの場所で、ラキエはようやく肩の力を抜いたようだった。
 陽射しの落ちる緑の中を歩きながら、僕はフリルのラキエに目を細めた。
(こんな機会もう二度とないだろうなぁ)
 手の中の小さな白い手、頼りなげな肩。ふわふわとリボンの乗っている金色の頭。
(もしラキエがもとに戻れなくても、僕が守ってあげよう………)
「アシュ」
「うん?」
「あそこに座るぞ」
 ラキエはベンチを顎で指した。決して口には出さないが、一度にいろんなことが起こったのだから疲れていないはずはない。でも弱いはずの人間の僕に「疲れただろ」なんて言われたくないだろう。
「うん、ちょうど座りたいと思ってたんだ、ありがとう」
 一緒にベンチに腰を下ろすとラキエはさっさと靴と靴下を脱ぎ捨てた。
(やっぱり靴は辛かったのかな?)
 僕は靴を並べながら思った。
 ラキエは大股開きのかなり行儀の悪い格好で、足をブラブラさせている。小さな足の先の、やはり小さな爪がピンク色だった。
(もーこんなにかわいくてどうしよう………)
 ラキエは僕の視線に気づいたか顔を上げた。
「オマエ、またかわいいとかふざけたこと考えてないだろうな」
「………っ、ないない、考えてないよ。の、呪いを解くにはどうすればいいか考えてたんだ」
 慌てて手を振ったが、ラキエは疑わしそうな視線を向けてくる。
「呪いが解けないと困るだろ? あの像、どこから持ってきたのか覚えている?」
「ああ、少し思い出した」
「えっ、本当? どこなんだい」
「こっちの世界だ。たしかどこかの国の……王だか領主だか」
「人間の呪いなのかな?」
「人間が悪魔に呪いを掛けられるものか。作ったのはたぶん俺の仲間だろう。かかってみてわかったが、これは呪いというより術の一種だな」
 ラキエは落ち着いているように見えた。悪魔相手ならなんとかなるかと思っているのかもしれない。
「術なら解けるんじゃない?」
「この術より上の力があればな」
「君は?」
「俺の術とは種類が違う。相手を倒すなら直接倒してやる。あんな周りくどい姑息な術は使わない」
 ……つまりラキエの魔力では解けない術というわけか。考えてみればラキエの力ってゲームで言うと氷結系とか物理系とかだものな。
「ねえ、もし術が解けなかったら………このまま僕とこっちの世界で暮らす?」
 ラキエはきっと僕を睨みつけた。
「絶対、解いてやる。こんな術」
「………う、うん、そうだね」
「それまでは、オマエの所にいてやる」
「うん」
 ラキエは空を見上げた。彼が何を考えているのかはわからない。術の解き方を考えているのか、それともただたんに腹を立てているのか。
「ラキエ、そろそろ帰ろう。靴をはいて」
 僕がそう言うとラキエはにやっと笑って顔を上げた。
「いやだ」
「え? いやって、でも」
「そんな窮屈なもの、誰がはくか」
「ラキエ、じゃあ、抱いていってあげるから」
「それもごめんだ」
 そう言うとラキエはふわりととびあがった。たっぷりとギャザーをとったスカートが空の中に広がる。
「ラ、ラキエ、飛んじゃだめだよ!」
「うるさい、俺は先に帰るからな」
 ラキエはそう怒鳴ると高度を上げ……ようとしたらしいが、ふらっと空中で態勢を崩した。
「うわっ?」
 ラキエが悲鳴をあげるのと、僕が落ちてきたその体を抱きとめるのが同時だった。
「ラ、ラキエ! だいじょうぶ?!」
「…………」
 ラキエは僕の腕の中で目を見開いたまま固まっていた。
「ラキエ?」
 ラキエは目を閉じると歯をくいしばった。握った拳がぶるぶる震えている。
「ラキエ、どうしたの?!」
「……飛べない」
「ええっ?」
「飛べない、飛べなくなった」
 僕の腕の中で体を起こし、じたばたともがく。だがやはり飛び上がれないようだった。
「ラキエ、まさか魔法が使えないの?」
 僕の言葉にはっとした顔をすると、右手をベンチにかざした。小さな手が輝き、あっというまにベンチが凍りつく。
「…………」
 安堵のため息をついたのは僕とラキエのどちらだったろう。
「だけど、飛べない……」
 ラキエは暗く呟いた。
「大丈夫だよ、き、きっと、環境の急激な変化で一時的にスランプになっているんだ」
「………………………………」
 ラキエには僕のいうことの半分もわからなかっただろう。僕も、たぶん僕自身のために繰り返していたにすぎない。
「大丈夫だよ、落ち着けばきっと……」
 ラキエは僕の首にぎゅっと抱きついた。顔を伏せ甲高い声で叫ぶ。
「帰る!」
「ラキエ…………」
「早くしろ! もうここにはいたくない!」
「うん、わかった…………」
 僕はラキエを抱きしめると家へ向かって歩き出した。

つづく

2006年08月13日

2006年夏コミ!

コミックマーケット70、お疲れさまでした。
今回は落選したので私は一般参加、お買い物に専念しました。
今回は2日目のアイシールド買い物のためにこうもり柄浴衣をゲット! 手製のこうもり巾着と手製のデビルバッツ帯飾り(………)でコミケファッション(ここは笑うところ)。しかしうっかりコウモリ扇子を持っていかなかったのです。あーつーいー。

1日目はアニメとゲームと小説の日で、ゲームはメガテン関係を、アニメは懐かしアニメコーナーを回ってみました。あいかわらず白土パロは面白いよ。トルーパーもまだまだ健在。面白いところでは稗田礼二郎本を入手。諸星パロもない、とは言わないんだけど、あの絵を下手にならず、しかもオリジナリティをいれて描くのはむずかしいですね。
しかしノクターンでうっかり以前買った本をまた購入してしまう始末。熱に浮かされていると記憶が飛んでしまうのね。
この日は東館の「カレー王国」でドライカレーを。わたしはけっこう食べるほうなんだけど、その私が食べきれなかった(アイスコーヒーとアイスティーをダブルで飲んだせいか?)。値段は高いけど味とボリュームはいいです「カレー王国」。こんどはぜひチキンカレーにチャレンジしたい。

2日目。さあ、アイシールド買うぞ、と思ったんですが、アイシールドはいまや列2つに激減! ネウロやムヒョという新興勢力においやられています。かわって増えたのが銀玉、リボーン。しかし遊戯王はいまだに列を守っている。ここんとこコミケの流行ってわかんないな。
アイシールドは若菜本があまりなかった~。ヒルまもはけっこう増えている様子。あ、あごんも多いね。一番多いのはさすがにヒル魔さんなんだけど、ルイヒルの好みの本を見つけた。なかなかよかったので冬もチェックだ。残念ながら泥門本はほとんどない。わたしはアイシーの同人誌にはギャグを求めているんだけど、そういうのもあまりない。ヒルセナも好きなんだけど内容が似てる話が多く、いまいち萌えがこない。ギャグは王城とか他高生絡みなら多いんだけどな。
こうもり巾着は「かわいいですね」ととあるサークルさんでほめてもらっちゃた………うふ。
2日目のお昼は西館の二階の喫茶で。のどが乾くので再びオレンジジュースとアイスコーヒーをダブルで。そしてサンドイッチ。けっこううまいよここのサンド。前は焼きそばパンがあったんだけどな、いつなくなったんだろう? 冬には復活希望。
席が少ないのでこういうところは相席当然。一人で座っている男性の前に「ここよろしいですか?」と座ったら2つのドリンクをみて「だれかいらっしゃるんですか?」と聞かれてしまった。「いえ」とにっこり笑ったのだがその人はすぐに立ってしまわれた。「ごゆっくりどうぞ」と言ったんだけど「いえ! まだ用事(買い物)がありますので! それでは!(すちゃ!)」というふうにキビキビ去って行った。うーむ、戦闘に向かう姿は美しいな!
この日は昼過ぎからものすごい雷雨になって東京では山の手線は3時間とまるわ、火事はあるわ、NTTのひかり電話は不通になるわとたいへんだったんですが、みなさん大丈夫でしたでしょうか?
私も帰ろうか、と思った頃に降ったので、3時からまたこの喫茶に席を構えて小雨になるまで読書をしておりました。で、読みはじめたあんぴさんのブログのまとめが面白かったので続きを買いに行こうともう一度西館へ行ったのですが、残念店じまい。先に読んでおけばよかった………。
夏コミはさすがに浴衣の女性が多くて目の保養。みなさんなかなかおしゃれしてらっしゃる。しかしそれは付け帯だろうというツヤツヤした帯の人が多くて残念。あと、ふくよかな方はできれば和装ブラをつけるのがよろしい。時間が経つと襟元が乱れてきて胸がはだけてきちゃうんですよ、胸の大きい方は。胸がはだけてくるとすその方も乱れてきて悲惨な状況に。そういう人をみてしまったんだけど、私はエスカレーターで運ばれている最中だったので直して差し上げられず悔しい思いを。それからみなさん帯きつくしめすぎ!そんなに細いウエストだとかえって浴衣ではみっともない………。あとそのボサボサ頭をどうにかしてくれ、浴衣の時は耳を出してちょっと髪をまとめるといい感じだぞ。そして二の腕を出して腕をくむんじゃなーい! 足を広げて立つなー! はあはあはあ………
年に一回なんだから「女らしいフリ」をしてください………。

3日目。エロ日。今日は欠席。
うーん、グッズやその他には興味があるんだけど、今日の夜行で実家へ戻るからなあ。
お部屋をかたずけてコミケの申込書を書かなきゃね。

そんなわけでしばらく実家へ戻ります。
PCはつながっているけど大幅な更新はできません。
それではしばらく、アデユー東京!

2006年08月19日

新ブログ!

そんなわけでムーバブルタイプの3.31。
迷惑コメント、トラバを受け付けない新型だ!

いやもうアイカタちゃんのおかげです。
自力でやろうとしたんだけどマニュアルが全然読めないの!
わかんないの!
理解できないの!
………おかしいなあ。
他のことはできるんだけどなあ、掲示板つけたりゲーム作ったりjavaいじったりできるのに。
なんでムーバブルだけマニュアル読めないのかなあ。

相性か?!

つーことで、さあ、迷惑コメントかかってこい!

ついでに少し日記も整理。
画像のなかったコミックスで画像がアマゾンにUPされたものは画像をいれて、キリバンはテキストに収納。今のところブログで読める小説は「魔王様」の新作だけです。

2006年08月25日

見たかったのに

アーカイブをみてみたら去年の7月以降洋画を見てないということになっていたよ。
おかしいなあ。
見たよね? 思い出してみよう。
「死者の書」⇒日本の人形アニメ 「ベルビルランデブー他」⇒ヨーロッパアニメ 「王と鳥」⇒ヨーロッパアニメ「Mrインクレティブ」⇒アメリカアニメ 「ファインディング・ニモ」⇒アメリカアニメ
あっ、あったよ、なんとか4っていうのが。ファンタジック4とかなんとかいうのが。
あと「ネバーランド」だ。映画自体はあまり………だったが中で描かれた舞台劇は感動したなあ。ティンクを助けるためにみんなが拍手するところは素直に泣けた。

うーん、見たい映画はけっこうあったんだけど話題のダビンチコードもポセイドンも見られなかったなあ。
ポセイドンは昔「ポセイドン・アドベンチャー」で大泣きした人間としては見たかったけどな。
そっか、大体ビデオやDVDでみちゃってるんだな。

見たかったのにみれなかった映画
「キングコング」「ポセイドン」「ダビンチコード」「フライトプラン」「エミリー・ローズ」
忘れないようにメモしとこう。

2006年08月28日

時をかける少女

これを言うと年齢がばれてしまうかもしれないが、筒井康隆原作「時をかける少女」にはじめて出会ったのはNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」だった。
これを見たときはびっくりした。
SFというのはこういうものかと思った。
ウルトラマンのように怪獣がでてくるわけでも宇宙大作戦のように宇宙船が出てくるわけでもない。四谷怪談のように幽霊がでるわけでもない。
そういう非日常的な小道具がなにもないのに主人公は日常から逸脱する。
そんなテレビドラマを見たことがなかったからだ。しかもNHKで。
私は子供だったが主人公の芳山和子の恐怖やとまどいには共感できた。彼女と一緒にどきどきした。そしてタイムトラベラーであるケン・ソゴルのかっこよさにくらくらした(日本名は覚えていない)。
初恋はケン・ソゴル―――そういう同世代の女子が大勢いると思う。

時をかける少女はずいぶんたって映画になった。はらだともよ主演のこの映画ははらだともよより大林監督の演出の方に目がいってしまった。時計のUPやふりむく人形や尾道の町の色やおもわせぶりなキャラクターたちが印象に残っている。

そして今回、アニメになった。前からこのアニメはいいとWEBで噂されていた。ゲドをみるよりトキカケと言われた。キャラクターデザインはエヴァの人だったが、動いている絵はもう少し線が少なくそれほど嫌いな絵ではなかったので(実はエヴァの絵は苦手なのだ)そのうち観に行こうと思っていた。でも新宿までいくのは難儀だなあと思ってたら池袋にもきてくれたので(夜9時から1回上映)アイカタちゃんと一緒に水曜レディースデーに見に行った。

………並びかよ!
整理券もくれないのか。並んで待つのか。しかも上映している部屋の横で?
こんなにガヤガヤうるさいのに。
ああ、そういえばこの映画館は以前「うぶめ」を見に行った時も、並んでいる観客の声がしてて落ち着かなかった館じゃん。今みている人は気の毒だなあ。まあ森のリトルギャングだからいいか。

そんなわけで1時間ほど待っていよいよ上映。立ち見もでているが映画館側は座布団を用意している。通路に座って見ろってわけか。良心的だな。

………………………………………………………………………………………………

面白かった。
私は面白かった。
アイカタちゃんは渋面だが私は終了後拍手をしたよ。そしたら館から拍手があがったよ。
そのあと話をしたんだけど、あれは男の喜ぶ映画だよな、と。
私はどうも男脳らしいんであれを喜んだのだろうと。
面白さをどうつたえればいいのかわかんないんだけど
繰り返しのギャグや会話の楽しさやアクションのよさや………うーん、なんていうのか
まあ「気持ちのいいアニメ」だったのよ。

もしかしたら「時をかける少女」って、タイムトラベラーもはらだともよも今回のアニメも、
みんなそれを見た人の青春に関わる話かもしれないね。

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