« ほとびるその後 | メイン | まるでBL大河ドラマ »

ウルトラマンガイアより~遠い街ウクバール

あの、すいません、語らせてください。
いや、ウルトラマンガイアなんだけどね。
今放送しているのはマックスでこれはこれですげーおもしろい。先日の「イジゲンセカイ」も吹き出してしまったよ。会話とかテンポとかがよくて(ガメラの金子監督だったせいもあるけど)マックス全体が1エピソードずつの完全読み切りエンターティメントに徹しているというのがよくわかった。

……このままだとマックス語りになってしまいそうだが、ガイアだ。

平成ウルトラマンには「ティガ」「ダイナ」「ガイア」「コスモス」「ネクサス」「マックス」とあって、わたしがちゃんと見てるのはいまのとこ「ガイア」なんだけど(レンタルでね)、ファンタジー色、エンタメ色の強いマックスと違い「ガイア」はリアル志向。ガイアに変身する主人公が戦闘に参加しないアナライザーという設定も戦闘チームが別にいるっていう設定も、大きな流れの中でストーリーが進んでいく設定もイカス。
だけど先日借りた「ガイア」に収録されていた「遠い街・ウクバール」これが 感・動・!

いや、わかってるよ、ウクバールについてはさんざんガイア放送時に書かれたことだろう、いまさらガイアでもないだろう。でも聞け、いいから
もうこれは「ウルトラマン」という作品ではない、「遠い街・ウクバール」というオトナのファンタジー。

25年も配送屋を続けながら故郷ウクバールをさがし続ける自称・宇宙人の永田。その街の話を延々聞かされイライラした新人バイト庄司はつい「ウクバールはあんたの頭の中にある」と言ってしまう。ショックを受ける永田。
庄司はXIGのチームハーキュリーズのリーダー吉田の幼なじみだった。庄司は吉田に永田がチキュウジンであることを証明してやってくれと頼む。
吉田とガムは永田の生まれた実家を探し出す。実家があるなら宇宙からきたという妄想はなくなるだろう。すでに空き家になっていた永田の実家には背比べの傷のある柱もあった。永田はやはり地球人だったのだ。
しかしやがてウクバールから使者ルクーという怪獣がやってくる。空に響くサイレン。「ウクバールでは夕方になるとサイレンが鳴ってみんな家へ帰るんだ」という永田の言葉を思い出す庄司。そしてルクーは消え、永田も消える。
再度永田の実家へ行った吉田はそこで昔のカレンダーを見つける。そこに描かれていたのはウクバールの街……。
ウクバールは実在したのか、それともこの絵から浮かんだただの妄想だったのか……?

前半は延々庄司とともに永田のウクバール観光案内を聞かされるのだが、それが不思議と飽きない。会話のタイミングがいいせいなのかな。そしてこの作品は画面で描かれていない部分も容易にこちらに伝わってくる。
たとえばウクバールの話にいらついた庄司、彼は売れない役者でバイトをするしかない。なのにそばに美しい夢をもつ男がいてそれを語る。ただ無駄話にいらついたわけでなく、そういう側面が庄司を怒りに駆り立てたのだ、とか、幼なじみに頼んでまで永田が地球人である証明をしようとしたのは、永田を傷つけたことに対する自分の正当化、また地球人であることが証明されれば永田の傷が薄くなるにではないかという罪の意識である、とか、そういったものがひしひし伝わる。これは永田・庄司というゲストキャラクターがしっかり立っているからだ。30分という連続ドラマの中でこれは快挙ではないか。
線の切れた電話の受話器から風の音が聞こえるというシーンや、不意にカラカラまわる風車など、不思議で印象的なシーン、迎えにきたルクーを見上げる永田の陶酔した表情、ウルトラ史上最高に赤提灯が似合う吉田リーダー(かっこいい、惚れた!)など役者もすばらしい。

リアルで壮大な流れの中でぽっかりと浮いたストーリーではあったが、見て損はない。レンタルビデオ屋へGO!

ウルトラマンガイア(8)
特撮(映像)
B00005EDTE

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.syu.sakura.ne.jp/ruta/blog/mt-tb.cgi/178

コメント (4)

もち:

はじめまして。
気になって投稿させて頂きます。
このお話、何年か前に旦那がリアルタイムで見ていました。
見た後、物悲しくなったと言ってました。あと、完全に子供向けじゃないとも。
機会があったら、見てみようと思います。

るた:

はじめまして。
たしかに子供向けではありませんでしたねー。オトナのファンタジーという感じでした。DVD8巻にはいってますのでぜひ見てください~。吉田リーダーのシブサにもくらくらしてください。
この8巻は全体的にオトナ向けのような気がします。未亡人に惑う梶尾リーダー(悪魔の繭)や、自分の死期を目撃してしまった米田リーダー(いつか見た未来)など、隊員たち中心の話が多かったせいかも。ジュブナイルのようなエピソード的話(呪いの眼)もけっこうおもしろかったです。

ちゃーりー:

こんにちは、はじめまして。遠い街ウクバールで検索かけて来ました。 実は放送当時ホントに偶然この回だけを見てすごく印象に残ってたのですが、タイトルをド忘れして(さらにウルトラマン???と番組名すら忘れてて)ビデオ屋さんで探すのに苦労しました。で、昨日ガイアの8巻を借りて来てやっとこさの再会でした。 たしかに傑作で、かつてのウルトラQのような印象です。 あと当時は気付かなかったんですが、庄司の役やってたのは北野武映画でお馴染みの寺島進だったんですね。 いい役者使ってたんだなぁ。
どうせ最近の?なんて思ってたら、けっこういいシナリオの回もあったりしてで、侮れませんね。

るた:

はじめまして。
ウクバールは特に個々の役者さんの個性が際立ってましたね。あれほど民間人に画面を裂いた話はなかったのではないでしょうか。マックスも終わってしまってあとはガイアをビデオで借りるのだけが楽しみです。
シナリオの太田さんの作品はマックスの「星座泥棒」のように雰囲気だけで終わってしまっているようなものもありますが、「ウクバール」や「遙かなる友人」のようにこっちのハートをがっちりキャッチ!というのもあって、ホント、あなどれません。

コメントを投稿

About

2006年03月06日 22:15に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「ほとびるその後」です。

次の投稿は「まるでBL大河ドラマ」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type