日曜にNHKで矢沢栄吉とそのファンたちのドキュメンタリ?を見た。
その中で矢沢さんが「殴られるといい、俺はビートルズにパンパンパーンと殴られた」と言ってた。
まあなかなか殴られたような衝撃を味あうこともできないと思う。
つまり自分の人生を変えるような、決めてしまうような、第三の目を開かせるようなものだよね。
パンパンパーンというわけではないが水風船を顔に弾かれたマヤくらいの衝撃は今までにもあった。
たとえば「デビルマン」を読んでそのラストシーンに少年マンガの崩壊を見た。
たとえば「限りなく透明に近いブルー」を読んで、こんなにも文章は自由でいいのか、と驚いた。
たとえば槙村さとるのデビュー作「放課後」を読んでそのコマの斬新さにショックを受けた。
たとえば紡木たくを読んでコマからあふれる感情の波に、他人の家だというのにその衝撃に何冊も抱え込んで動けなくなった。
たとえば「紅三四郎最終話・秘剣美少女」の少女が刀を鞘におさめる肩の動きに、「わんぱく王子のオロチ退治」のヤマタノオロチの立体的な動きに、中国アニメ「ナーザの大暴れ」のナーザの自害シーンに、DAICONアニメの戦闘機の動きに、「ホルスの大冒険」でヒルダが雪狼に後ろから襲われて力なく倒れるシーンに、ぱしぱしとひっぱたかれてきた。
だが、いずれも私は観客だった。漫画家にはなりたかったが自分の絵ではなれないだろうというのは早い時期からわかっていた。
叩かれはしたがそれは単なる感動で、人生が変わったわけではなかった……
その中でもしかしたらこれは人生に、人格形成に影響を与えたかもしれない、というものがある。
なにかといえば雑誌「OUT」だ。
たしかその号はひおあきら特集。
別にひおあきらが好きなわけでもなかったし、それでファンになったわけでもない。
私をひきつけたのは読者の頁だった。あらゆるアニメやマンガの感想がそこにあり、パロディが行われていた。いっぺんにはまった。その世界に。アニメはみてなかったからわけわかんないのに、その世界に親しんだ。
OUTはそれまでマンガと小説しか興味のなかったわたしをアニメに転ばせた(上記のアニメはこの後ビデオや劇場で見たわけだ)。パロディにつきすすませた。
「OUT」がなかったら私はただのマンガファン、アニメファンだったろう、「OUT」のせいでオタクとなった。
人生を決めた1冊にこれをあげるのはかなり忍びないが、いまのとこ、これしか思いつかないのが情けない……
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