えー、誰も一緒にいってくれそうもない「あらしのよるに」をレディースデーで見てきました。すいてました。
しかしレディースデーにわざわざ男二人でくるってどういう度胸試しだろう、それとも何かの罰ゲームか?
隣に子供が座ったのでいやな予感がしたんだが、あんのじょうハンバーガーを食べ始める。匂いがいやなんだよー。しかも親は上映中に携帯でメールをチェックするし。そんなに忙しいのか?映画が終わるまでの短い時間待てないのか? 将来子供が映画館で携帯の電源いれっぱなしのマナーしらずのオトナになるのは母親のせいだぞ?
そんな「あらしのよるに」ですが、まあ話はみんな知ってるんではぶくけど、許されない愛を貫く狼とヤギの話です。
原作もBLくさかったけど、映画はさらにBL度増してました。特に狼の方で。
メイに「秘密の友達ですね」と言われて「そんな言い方ドキドキしやす」とか言ったり(するな!)、メイに「会えてよかった」と言われて顔を赤くしたり(するな!)、メイが木を乗り越えようとするとさっと手をさしだして助けてやったり。
おまけにヤギの声の成宮が、喘いだり叫んだりすると声がかすれて甲高くなってまるで女の子みたいで。
そしてガブの目の前でおいしそうなお尻をふりふりさせるところとか、メイを食べたくないのにおなかが鳴ってしまうガブが、自分を罵るのを涙を浮かべながら微笑んで見つめているシーンとか、健気な受けの人みたいで。
アニメ製作と美術の方はあの「銀河鉄道の夜」のスタッフなので美しいです。「銀河鉄道」にも見られた顔のUPに緊迫感のないたらたらしたセリフが続くところもあったし。
まあものすごく感動した、というわけではないのですが、DVDで見ても損はないと思います。泣けるシーンも3カ所はありますし、ガブがたった一人で狼の群れに立ち向かっていくところや雷のシーンなどは迫力ありましたしね。
考えてみると絵本なんかでは狼は敵役ですよね。それはひとえに彼らが肉食だからなんですが、たとえばこのシリーズは絵本でファンタジーなんだから、ガブが果物とか食べてもいいんですよ。それをせず、肉食をも肯定したところに人気の秘密があったんでしょうね。
逃避行を続ける二匹、夜中にガブが黙って出ていって、動物を食べて帰って来たとき、メイが「今夜は何匹殺してきたんです」と厭味をいう。ガブにしてみれば「だってしょうがないでしょう、じゃあ俺に飢え死にしろっていうんですか」と言いたいところでしょう。
せめてメイの同種族は食わない、っていうところでも譲歩してほしい。なんせガブはヤギの肉が大好物なんだから。
まあこんなやりとりのあと、アクシデントがあって、メイもガブの食事についてはもう何もいわなくなるんだけど。
肉食獣が他の動物を餌にするのは生きるためであって「命を奪う」というのとは違うと思うんです。もうそれはそういう仕組みになっているから当然のこと。
このシリーズでは常に二匹の目の前に喰うもの、食われるもの、という問題が横たわっている。最後の雪山のシーンでは「私を食べて」とメイが言う。ここではすでに「命を奪う」ではない、相手を活かすために「命を与える」という話しになっている。
作者は本当はここで終わらせるつもりだったらしいけど、どんなにBL臭くても、ベタでも、やっぱり二匹が再会した7作目は完成してよかったと思う。もうすでにこの話は作者の手を離れ、読者の夢の世界に、希望の世界にいってしまっているのだから。
あ、「あらしのよるに」が文庫になりました!
3話分はいっててオトク!
絵本版
あらしのよるに ちいさな絵童話 りとる | |
あべ 弘士 おすすめ平均 このお話は感動します。 素敵な出会い。 予想を裏切らない本でした。^^v 続きを買わずにいられない。 最高傑作の始まり Amazonで詳しく見る by G-Tools |
文庫版
あらしのよるに〈1〉
小説版
小説 あらしのよるに