今週のマックスは先々週に続いて実相寺監督。しかもあの「狙われた街」のパロ……いや、モチーフにした作品とくれば見ないわけにはいかんでしょう!
狙われた街、というのはその街で突然住人が狂暴化する事件ってのがあって、その原因が、人間同士の信頼感をなくすためにメトロン星人が煙草に薬物を仕込んでいた、という話。
この話を有名にしているのがメトロン星人とモロボシダンが四畳半でちゃぶ台はさんで対話するシーン、そして夕焼けをバックにした静かな戦い。
メトロン星人はダン(セブン)に地球人のおろかさを諄々と説くが、セブンはそれは強者の見方である、と反発する。
今回のメトロン星人は、そのときセブンにやられたあと地球人に助けられ、40年間、その街に潜伏していたという設定。そして故郷へ帰る前にちょっとしたいたずらをしただけだという。
そのいたずらはある種の携帯電話に特殊電波を流して前頭葉を萎縮させ理性を奪うという行為。
「どのみち地球人は我々が手を下さなくても理性を失い猿になってしまう、今回はちょっとそれを手助けしただけ」
メトロン星人はそう言って笑う。このメトロン星人が化けた人間が寺田農。いやーそのままでも妖しいのに、ちょっとユーモラスなシニカル宇宙人役がピッタリ。
おとなしく宇宙へ帰るからじゃんけんしよう、とか言って、メトロン星人はチョキしかだせなかったり、まあまあお茶をどうぞ、と目兎龍茶をだしてみたり、地球のおみやげーと言ってスッポン(トイレで使う方)を見せてみたり。
メトロンが故郷に帰ったことをきいて、その幼なじみ(かくまった地球人、この人もメジャーな役者)が「俺もつれてってほしかった……」と呟いたり、カイト(マックス)が「メトロンの言う通りかもしれない」と呟いたり、それに反発するミズキ隊員の言葉が「でも」の後ぶつっと切れたり(フィルムがきれるように)。
前回の「胡蝶の夢」よりわかりやすく楽しくオモシロイ演出でした。内容も濃くて、1時間番組のようにも思えた。
そういえば旧作の「狙われた街」でなにが秀逸かというと、さいごの皮肉なナレーション……
「人間の信頼関係を崩そうとした宇宙人の陰謀、でも安心してください、これは遠い未来のお話です。なぜって? 私たちはまだそれほどお互いを信頼していませんからね」
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