あいかわらず「電車男」は満席で見られない。
2時の回に間に合わなかったので本屋をぶらぶらしてたら3時半になった。すると「宇宙戦争」が3時40分からでまだ席があるという。
ほんじゃあこっちにするかとはいってみた。
「宇宙戦争」は昔テレビでオリジナル版を観ていた。あの時もけっこう怖かったし、人間の無力と愛をひしひしと感じた名作だった。
何も答えない金属の円盤が容赦なく人間を殺戮するシーンも怖かったし、部屋の中に宇宙人の探査機がしのびこんできて隠れている人間が息を殺しているシーンもハラハラした。そんでなんで外人女はきゃーきゃー叫んでキケンを招き寄せるのかと腹がたった(笑)。
最後にみんなが教会に逃げ込んで祈りを捧げ、神のみもとにいくのだと決意している静かなシーン、そして意外な結末、全てが終わった後の明るい静寂など子供心にも深く印象に残っている。
それを今度スピルバーグがリメイク化……。
現代版宇宙戦争は最初から最後まで破壊と虐殺の映画だった。
なすすべものなく壊滅していく都市、軍隊、一瞬でフリーズ化して破裂する人間。
最初道路からマシーンが出てくるところはすごかった。民衆はなにが起こっているのかまったくわからないままその危険地帯から逃げようとしない。人間にとって「なにが起こっているのかわからない」というのが一番怖いからだ。だから確かめようとその場を動かず、周りで人が死んでいってはじめてパニックになる。
地面に亀裂が走ってビルが崩れるシーン、マシーンが出てくるシーンこれはほんとにすばらしい。
冒頭は都市を破壊していくシーンが多くてなんとなく自然災害パニックぽいが、徐々に人間を一人一人殺すシーンになっていくとホラーっぽくなっていく。いや、人間駆除するならそんな手間かけんでしょう。
オリジナル版にあった部屋の中に探査機がやってきてというのもちゃんとあるが、ほとんどかくれんぼのようでこんなふうに逃げられるのならもしかして宇宙人はあまり頭がよくないのかもしれない(笑)。
そう主役はひたすら逃げます。ほとんど戦いません。唯一自分の娘を危険にさらしそうな同胞と戦うくらいです(あ、宇宙人に掴まったとき偶然戦いますが)。
いかに逃げ回るか、という映画です。親子愛の映画かもしれません。でもなんか娘はそれほど父親とは結びついてないみたい。
で、エンディング……
以下ネタばれ。
いや、オリジナルを観てるならネタばれもないんだけどさ。
これはないんじゃないかな。
原作が書かれたウエルズの時代、そしてオリジナルがつくられた時代ならいいよ。でも現代でそのネタをそのままもってくるか?
観ているこっちにだってそれなりの知識はあるんだから。
宇宙人を倒したのは微生物でしたってのはさ、納得しないでしょう。
だってたとえば私たちが別な星を侵略しようとしたら、事前にその星のこと調べるだろうし、自分たちにとって有害なものは排除する努力をするよ。そういうことを知っているわけだから、観ている人は。
百万年も前から準備していた宇宙人が自分たちにとって有害な微生物の存在を知らないってのはないんじゃないかな。
なんかそこに新しいモノを感じさせてくれるかと期待してたけどそれははずれてしまった。
教会のシーンがなかったのも残念だった。オリジナル版で神に祈るのとウイルスが宇宙人を倒すシーンのシンクロに祈りに対する救いを感じたんだけど、そういうのは今回かったくなかった。神は全く出てこなかった。わざと排除したのか。そういえばまず破壊されたのは教会だったな。
まあ、都市破壊シーンが好きな私は冒頭の街のシーンでけっこう堪能できましたが、オリジナルなオチを見たかったですね。
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