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デビルマン


 幼少の頃にデビルマンに接したものはかなり心に何かを残して
 いると思う。
 デビルマンはそれまでの漫画のルールを次々と破った漫画だ
 った。
 ヒーローが虐げられること、人間が敵になること、友人が愛を
 囁くこと、神が正義ではないこと、ヒーローの死、戦闘後のあまりの静寂。
 呆然としたと思う。最後まで読んで。
 これが本当に終わりなのか信じられなかった。
 幼い私は何か見落としているのではないかと疑った。
 いろんな漫画に影響を受けてきたが、デビルマンも最たるものだった。
で、そのデビルマンが実写映画になる。今の技術だからできたのだろうが、デビルマンや悪魔はどうでもいい問題はシレーヌだ。
あの胸は………ゆるせん。
どうでもいいからもっとこうドッカンとした胸をだな!
シレーヌは巨乳ではない、確かに。しかし、やはり日本人の、アジア人種の胸じゃないんだよー。
頼むから胸………CGでいいからもう少し胸………。

というわけでデビルマンを観て来ました。
うー………ん………。

なぜ原作どおりやらないんだ!!
あれだけストーリーのしっかりした漫画ナンだからそのまんまやればいいだろうに。
明と涼の主役二人の演技力はもう出た瞬間から期待してなかったけどさ。ああ、5年早くキンキキッズでやってたらもう少し萌えられたかな。

えーと。
シレーヌの身体は顔以外CGということでした。なら胸はもう少し矯正できたんじゃないかな。漫画っぽい身体でいいから胸をもう少し。そして「シレーヌ、君は血まみれでも美しい」がなかったのが不満ー! カイムとのあの純愛のシーンがなくてなにがシレーヌか! デビルマンと結局決着ついてないし。バトルシーンも早過ぎるだけで訳わからず迫力無くてつまらなかった。同じ空中戦でもガメラなんかの空中戦の方が出来がいい。ところどころスローモーションやアニメーションは入ってて、一瞬アニメになるところとか面白くて感心したけど、あとは見せ方が人間の動体視力限界をわかってないというか。あんなスピードでバトルされても爽快感がない。

あと、ミキちゃんが襲われてクビキリダンスのあのサバトのシーンがなかったのが残念、あの子供心にものすごーくショックだった(よく発禁にならなかったよな)あのクビカリシーン、あれがあったために明──デビルマンの「人間どもめ!」という激怒のシーンが納得できたんじゃないか。あのシーンでデビルマンも読者も人間に愛想をつかした、滅んで当然、という展開になったのではないか。それがなかったからなあ。ああ、デビルマンが人間を滅ぼす、っていう図にはしたくなかったのかもしれない、映画は。人間を滅ぼすのはアクマで人間で、と。でも原作でのデビルマンの怒りも結局人間が招いたことで、人間を滅ぼすのは人間自身、というのは語られなくてもわかってたんだけど。
そして映画では人間を滅ぼすのが人間、という展開をサタンも気づいてなかったというのが納得いかない。記憶が定かではないけど、原作のサタンは、それを心得た上で「デビルマン」の存在を社会に流して人間の猜疑心を煽って自滅させたんじゃなかったかなあ。気づいてなかったんならサタンはただのマヌケじゃないか。

最後のサタンとの闘いのシーン。サタンの造形は「サタン」だと思わず「悪魔」だと思えばかっこいい(原作のあのサタンの美しさ、柔らかさを期待するとがっかりする)。で、バトルシーン、けっこうよかった。最後の原作における見開きのあの肉の塔の上のデビルマンとドラゴンの上のサタン、を再現(ドラゴンいなかったけど)もなかなかよかった。
だけどもうちょっと長く観たかったな。デビルマン軍団がいなかったのも寂しい。アクマ側はいたけど指輪物語のように一体一体をもう少しよく見せてほしかった。
ラストシーンについては一言。

なぜ、サタンが服をきているんだ!!!


あと10年経ったらもう一回、作ってください。

デビルマン (5)
永井 豪 ダイナミックプロ
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2004年10月30日 06:20に投稿されたエントリーのページです。

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