テアトル池袋で「アキラ」を観た。
5.1chの立体音響でのデジタルサウンドリニューアル版。
もちろん1988年にも劇場版は観たし、ビデオも持っている。が、あえて観る。
そう思って場内を見回すとなんとなく濃い客層のような気がする。
カップルいないしな。男の二人連れとか女の二人連れとか。
ここに来ているのは「アニメファン」でも「マンガファン」でも「大友克洋ファン」でもない。
「アニメのアキラファン」なのだ。
アニメのアキラはマンガとはまったく展開が違う。これはこれで一つの完成品となっている。あくまでも金田と鉄雄のふたりに焦点を絞った少年マンガなのだ。
テアトル池袋は狭い。画面も小さい。だが、やはり「アキラ」は映画で観るべき作品だ。目を奪う美しいテールランプの流れ、バイクの疾走感、破壊、爆発、金田や鉄雄の動き一つ一つが美しい。画面の奥から手前に向かって歩いてくるシーンから、最後の鉄雄の光を抱きしめる祈りの姿まで、金田の存在感から目がはなせない。そして、いまだかって、そしてこれからもこれほど緻密に、大胆に、そして”面白く”都市の破壊を描いた作品は現れないだろう。20世紀、21世紀と、「アキラ」に出会えたことはアニメファンとして幸運なことだ。